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ななめ台作 法面削孔装置の移動式可変勾配足場

法面工事におけるグランドアンカー施工等、法面に重量削孔機に耐える強固な足場を簡単に素早く提供するための移動式可変勾配足場工法です。

ななめ台作Ⅰ工法

何をする技術?
ななめ台作は、コンクリート又は、モルタル吹付け等により法面に格子状に形成された法枠にアンカー工を施工する際に必要となる足場を、安価に素早く提供する移動式可変勾配足場工法です。

工法の特徴
足場を構成する部材を「ベース装置」と「上部作業台」の二つで構成した。
「ベース装置」は、本設法枠交点に埋め込んだ「仮設アンカーから緊張」をかけ固定する。
固定された「ベース装置」に勾配の調整できる「上部作業台」を「専用固定金物で任意の位置」に固定できる。

工法概略(全体構成図)

工法概略(全体構成図)

2:法枠部
2B:法枠横枠縁部
3:ベース体
4:削孔装置
5:足場装置
5A:連結体
5B:作業床部
6:傾動調整機構
8:掛止ストッパ
13:ヒンジ部

工法概略(側面図)

工法概略(側面図)

法枠部(2)にベース体(3)を固定する。固定の方法2つ、
①法枠横枠縁部(2B)に掛止ストッパがかかることにより、法面上を滑り落ちを防止する。
②法枠コンクリート打設時に法面近くの法枠に設置したアンカーと緊張金物(7)を緊張し、ベース体(3)と法枠本体を最低4箇所にて固定する。
以上にて法枠に対し、しっかりと固定されたベース体に「上部可変勾配作業床部」を鉄骨クランプで4箇所以上固定する。
その後作業床部(5B)が水平になるように、傾動調整機構(6)を調整する。

工法概略(上部可変勾配作業床部+ベース枠)

工法概略(上部可変勾配作業床部+ベース枠)

ベース体(3)は格子状に形成されるが、法面が曲面の時は、横つなぎをはずした、縦柱だけの構造のものを使用し対応する。「上部勾配作業床部」は大きくは次の3要素から構成される。

①ベース体と鉄骨クランプで緊結する連結体部(5A)
②手すり等の安全装置を備え作業を行う作業床部(5B)
③作業床部の水平を調整する傾動調整機構(6)
なお①、②、③の連結はヒンジ連結とする。

工法概略(伸縮部+運搬・収納時側面図)

工法概略(伸縮部+運搬・収納時側面図)

移動運搬時には「上部勾配作業床部」は折りたたむ。傾動調整機構の一方のヒンジ部を取り外し上図の様に折りたたんで収納する。

旧来工法
足場組立状況①

足場組立状況①

足場組立状況②

足場組立状況②

実施写真

掛止ストッパ部

ベース体と上部可変勾配作業床部との緊結状況①

ベース体と上部可変勾配作業床部との緊結状況②

設置状況

上部作業床部状況

冬季作業状況(3セット使用)

使用条件
  • ある程度の断面(20cm以上)の先打ち工法コンクリート法枠工であること。
  • 1.5t程度の吊り上げ機械が必要(ラフタークレーン、クレーン機能付バックホウ等)
  • 横断的にある程度直線形状であること(ベース枠H=4m程度の横断的直線が必要)。
  • 削孔機械本体重量が3t以下であること。
メリット
  • 足場の組立・解体作業がなくなるため、早く削孔作業が開始できるため、工期の短縮ができる。
  • 上部作業台1基に対しベース装置を複数組合わせることにより、削孔作業を任意の位置から連続してできる。
  • 作業架台の水平を簡単に確保できる。
  • 法枠本体に固定しているので、作業時の振動が軽減される。
  • 法枠の曲面に自由に対応(1本ベース使用)できる。
  • 設置作業が2種類んの締め付け器具しか使用していないので熟練工を必要としない。
  • 足場経費の大幅削減(17%以上のコストダウン)

ななめ台作Ⅱ工法

Ⅰ工法とⅡ工法の違い

■Ⅰ工法
コンクリート・モルタルによる格子状法枠工先打工法におけるグラウンドアンカー工等の削孔工事に適用できる。

■Ⅱ工法
切土法面に直接削孔する工事に適用できる。

工法の特徴

大きな構成部材は「仮設H鋼」と「上部作業台」の2部材。
任意の場所から作業を開始可能。
仮設H鋼の転倒、沈下の検討が必要。
曲面地山にも対応可能

ななめ台作Ⅱ工法イメージ図
施工状況写真

足場組立不要 切土完了即削孔作業開始(工期短縮) 経費も削減(足場工法に比較30%以上の削減)

下地H鋼と従来型(Ⅰ型)ベース枠

側面方向より見る

拡大写真(H鋼とベース枠は専用金物で緊結)

上部作業台釣込み状況

上部作業台落下防止

上部作業台落下防止拡大

上部作業台落下防止処理後、専用金物にて緊結

上部作業台セット完了

上部作業台セット完了拡大①

上部作業台セット完了拡大②

H鋼に直接上部作業台を固定(ななめ台作Ⅱ工法)

上部作業台への通路及び作業床

削孔機械釣込み状況

ロッド、ケーシング釣込み状況

削孔機械セット完了①

削孔機械セット完了②

削孔状況①

削孔状況②

送水ポンプ、発電機(後ろが濁水処理プラント)

土粒子回収循環システム(エコマッドクリーン工法)

土粒子産廃処理排出状況


ななめ台作Ⅲ工法

工法の特徴

Ⅰ工法は法枠先行工法、Ⅱ工法は地山に「受圧板+グラウンドアンカー工」、Ⅲ工法は既設擁壁に「受圧板+グラウンドアンカー工」を法面工法の対象にしている。既設擁壁面にベース枠又はH鋼を設置し、下がり防止対策を行う。転倒防止はコンクリートにアンカーを打ち込み固定する。

ベース枠・H鋼等の固定方法

既設擁壁面にベース枠又はH鋼を設置し、下がり防止対策を行う。転倒防止はコンクリートにアンカーを打ち込み固定する。

Ⅲ工法活用事例

■工事名
五ヶ瀬川 角田地区 国道218号嵩上げ工事

■発注者
宮崎県延岡土木事務所

■施工概要
混合擁壁の重力式擁壁部(1:05)
グラウンドアンカー工(N=59本)
施工用作業足場

■本工法検討事由
過去の同種工事において、五ヶ瀬川の突然の増水により従来工法で組み上げてあった足場が、削孔機械もろとも流されたことが複数回あった。
このため、足場組立・解体に擁する時間が短く、突然の増水に対して容易に撤収できる足場工法ということで本工法を検討・採用された。
【増水時対応】:天気予報等で増水が予想される時は削孔機と上部作業台をクレーンにて吊上げ、高台へ移動する。
ベース枠はコンクリート面にグリップアンカー固定してあるので流失の可能性は少ないと考え撤去しない。

断面計画図
足場転倒防止検討
施工状況写真

設置前状況

作業台組立状況

作業台設置状況

現場全景写真

控えアンカー状況①

控えアンカー状況②

削孔状況