Technology

土粒士回収循環システム

何をする技術?

ボーリング工事等、水を用いて地山に削孔する工事において、土粒子を含む濁水を河川放流すること無しに工事を施工する工法。
原理的には、削孔する水に凝集剤を溶し込み、削孔水そのものに土粒子回収性状を与え、それを循環することにより削孔するため、ほとんど現場外に濁水を放流すること無しに工事を施工できる。

工法原理

各種凝集剤の性能試験状況写真。
1~2分で初期沈降完了する高性能凝集剤が市販される。(本社試験ルームにて)

透明度も従来のものに比べると抜群!河川放流基準は十分クリアーする。
5分後下のフロックの状況まで確認できる。

装置概念図
  • 凝集剤を溶し込んだ「循環型回収水」を沈殿槽、貯水槽に満たす。
  • この「循環型回収水」を貯水槽より送水ポンプにて「ボーリング装置等の削孔装置」に送り削孔作業を行う。
  • 上記作業により、発生した濁水は撹拌装置を通り、沈殿槽に静かに注ぎ込む。
  • 沈殿槽の上澄みを貯水槽に流し込み、この作業を繰り返す。
  • 雨水混入や地山からの湧水により「循環型回収水」の凝集能力が低下してきたら、経路にある「凝集剤水溶液層」より、撹拌装置に少量づつ時間をかけ加え凝集能力の回復を図る。
  • また、逆に夏場の乾燥、循環経路からの流出等により、「循環型回収水」の量が減ってきた時は、上記「凝集剤水溶液」の添加と共に、補水装置より不足の水を添加する。
  • 循環を繰り返すうちに、沈殿槽には土粒子の沈殿物が堆積してくる。これを槽底部から抜き、脱水層にて自重脱水するか、沈殿槽底部にフィルター装置を取り付け、土粒子分が抜けた「循環型回収水」取り出し、残った自重沈殿物を搬出する。
  • 以上のシステムは鋼製のタンクにより説明したが、下記に示すように池状のものによっても可能となる。
設置例

土粒士沈殿状況

上澄み状況

沈殿物自重脱水試験状況

使用条件
  • 土粒子を沈降させる槽又は池を設置できるスペースが必要。(一日の削孔量にもよるが、大体10m3~20m3位の容量が必要)
  • 沈降した土粒子を自重脱水する槽又はフィルター装置が必要。2槽式にし、交互脱水が効果的。
メリット
  • 濁水をほとんど現場外に放流することなく施工できるため、周辺環境に優しい工法である。
  • システムが非常に簡単に構築できるため、現場条件を選ばない。
  • 維持管理費が安価であり、維持管理に特別な技術を必要としない。
  • 掘削装置にほとんど清水に近い状態で返ってくるので装置の磨耗が少ない。
今後の課題
  • 沈殿槽に沈殿した土粒子の自重脱水の方法、装置の更なる改良。・・・・・活用第2現場で試行中。
  • 自重脱水した沈殿物(土粒子)の利用方法と、利用目的にあった更なる脱水・固化方法の検討。・・・・・下図フロー参照。
  • グランドアンカー工等作業に伴うモルタル・コンクリートによる「土粒子回収循環水」の高アルカリ化(最高PH=12)対策。
  • 削孔土量以外に発生する土粒子(重機走行に伴う泥、流水による経路の土の流入等)の抑制策。
残土処理フロー