Construction-dx

建設DXとは

様々な最新のデジタル技術を複合的に活用することで、業務プロセスをあらゆる角度から変革し、建設生産プロセス全体を最適化することで新たな強みを生み出す取組のことです。言い方を変えれば、『建設産業そのものの在り方を根本から改革的に変えること』とも言えます。
とは言え、では何をどうしたら良いのかということになりますが、これについては正解がなく、企業ごとに違いがでて当然であると思われます。
大手ゼネコンや準ゼネコンといった大企業は、独自に取組みを行っておりますが、中小企業にとっては、独自に取り組むことにはハードルがあり、建設DXに対してどのように取り組むべきかと悩むところだと思われます。

地方の中小企業である当社においての取組みが果たして参考になるかは分かりませんが、現在、当社において取組んでいる建設DXについて紹介いたします。

当社の建設DX

3つの基本方針(概要)

当社が進めている建設DXは、対象と目的をはっきりとさせるために以下の3つの基本方針を立てています。各方針をクリックで方針の詳細までスクロールします。

①現場における生産性の向上『現場の建設DXについて』
②ワーカーへの情報伝達の効率化と環境整備『ワーカーへの建設DXについて』
③様々なデジタル技術でオフィスと現場を繋げる『オフィスの建設DXについて』

当社の建設DXのシステム概略『現場⇔クラウド⇔オフィス』

こちらは、当社が現在おこなっている建設DX全体のイメージになります。
技術者、ワーカー、そして現場の情報や本社にある情報をクラウドを活用することで、常に共有し、効率化を図れるよう考え、実施しています。
また我々の地域では、今で言う建設ディレクターと言われる職種についても古くから採用し、活躍しているため、竣工書類の7割弱を技術者以外の女性職員と総務にて作成するバックアップ体制が整っていることが特徴の一つとなっています。

3つの基本方針(詳細)

①現場における生産性の向上『現場の建設DXについて』
  • 3D施工データによる、スマート施工(現場端末 + ICT建機)+ クラウドサービスの利用により情報収集 + 情報共有
工事の3Dデータ化

3D起工測量・3D施工データ・3Dモデルの作成

  • TLS・Drone・モバイルScanを使用し3D起工測量を実施
  • 3D起工測量データをベースに3D施工データを作成
  • BIM/CIMモデルとして各種3Dモデルを作成

現場を3D化することで、様々な作業の効率化が図れる。例えば現状にあった縦横断図が簡単なに作成できたり、土量計算等が非常に簡単となる。
当社では、全ての現場にて3D化を徹底することで、そのこと自体を当たり前の作業であるといかに技術者に捉えてもらうことが重要であると認識している。

3D施工データ

ミスをさせない、迷わない『3D施工データ』の作成

  • 道路or河川等、全ての工事で詳細な3D施工データの作成を実施
    →各種の3Dコントロールライン(基準線)とコントロール断面の作成
  • 各種の構造を詳細に分けて作成して、既定断面はもちろん、任意断面の位置出しがリアルタイムに管理可能
    直観的に分かるデータの作成

ワーカーが図面を見なくても、直観的に分かるデータを作成し、そのデータが格納された、直観的に操作できる現場端末(快測ナビ)を毎日使用することで、作業付近に監督がいなくても作業が止まらない、従来とは全く違う高品質、且つ安全でストレスフリーな現場が実現しています。

クラウドサービス

KSデータバンクを利用した写真整理

  • KENTEM社の電子黒板(SiteBox)を利用。撮影した写真をクラウド上に上げると予め用意しているフォルダに自動振分けされるため、写真整理の大幅な効率化
DropBox社のクラウドサービスにて現場管理
  • 設計書や3Dデータなどのデジタルデータをいつでもどこでも閲覧、作成が可能
Microsoft Teamsの活用
  • チャットや共同作業、Web会議やスケジュール管理ができ、リモートワークにも有効

技術者全員にサーフェスとスマホを提供。スマホについては、現場の責任者全員へも提供。いくつかのクラウドサービスを活用し、常に活用することで、ペーパーレス化を実現。更に賢い使い方について現在、勉強中。

ネットワークカメラ

現場監視カメラを設置して常に変わる現場状況を把握

  • オフィス・移動中・自宅・休日において昼夜問わずリアルタイムに現場状況把握
  • 河川工事や地すべり対策工事や除雪など、気象条件により現場条件が大きく変化する現場や除雪パトロールなどでは、毎回現場に行かずとも現場の現状をすぐに知ることができるため、作業中止などをする際の判断ツールとしても非常に効率的で便利
  • 発注者への情報提供などのツールとしての利用

既に実施済み。現在、どのカメラが当社にとって一番適しているのかの選定が完了し、更なる使い方を検討中でありますが、現場代理人の負担軽減やオフィスでの現場進捗状況の把握等が非常に分かりやすく、その効果を実感している。

Web会議

現場とオフィスを繋げたWeb会議を毎日実施

  • オフィスと施工している全ての現場を繋げたWebによる打合せを毎日実施することで、現場の進捗状況を確認できるとともに、無駄がでないように全体の調整を行えることから、会社全体の効率化を図ることが可能
  • 緊急時などでは、現場代理人に配布しているスマホよりオンラインにてすぐに現場の状況を把握することが可能となり、対策や対応までの時間の大幅な削減の実現に期待

既に実施済み。今後は、Web会議の質を高めることと、緊急時のWeb会議の対応の仕方についての検討をしている途中であるが、現場に行けない日であっても全施工現場の詳細状況を知ることができるため、効果を実感している。

現場における建設DXのまとめ
  • 全現場で3D起工測量3D施工データ作成を実施し、デジタルツインを実施
  • クラウドサービスアプリなどのツールを利用し、情報収集能力を向上
  • ICT建機の利用による人員の削減、工期の短縮
  • ダンプの動態管理の『見える化』
  • 過積載防止の『見える化』
  • ネットワークカメラを用いた現場の『見える化』
  • Web会議に適した会議室および個室の設置
次のステップ

全工事で3Dデータ(点群・3D施工データ・3Dモデル)の取得・作成・編集がスタンダードになり、社員の3Dへのハードルが無くなりつつある。また、様々なダッシュボードでの管理が浸透してきています。これらの運用はコミュニケーションが必須となりますので、ツールをフル活用して各年代に合わせたツールを取捨選択していくことが必須と考えています。

現場における建設DXのまとめ(紹介画像)

こちらは、現場に置ける建設DXの紹介画像となります。
当社ではこのように出来る限りの『見える化』を実施しております。

インタレクティブボード

インタレクティブボード

工務ディレクター

工務ディレクター

ミーティングルーム(防音機能付)

ミーティングルーム(防音機能付)

現場稼働・配置表

現場稼働・配置表

各現場のLIVE映像

各現場のLIVE映像

作業集中個室

作業集中個室

Web会議室

Web会議室

②ワーカーへの情報伝達の効率化と環境整備『ワーカーへの建設DXについて』
  • スマホアプリを利用した緊急情報の提供や情報の発信
  • クラウドサービスの利用による自社作成の工法動画、施工上の注意点などの閲覧や社内の最新情報、人員配置などが常に確認できる
クラウドサービス

工事・現場・社内の最新情報、手順や研修動画などの情報を共有

  • 各工事の人・物・機械の配置情報や緊急時にLINEグループに登録している全社員に向けた情報提供
  • 施工上の留意点工法動画などのデジタルデータをスマホやPCなどにて閲覧が可能

既に実施済み。今後は、この閲覧できる情報をワーカーがどのように活用してくれるかということを検討しなければならない。例えばこの情報を現場の始まる前に予習として閲覧するだけでも、現場での作業効率の向上に繋がると思われることから、非常に期待できる。

ワーカー(作業員)への建設DXのまとめ
  • 小黒板電子化アプリとの連携により、撮影写真データをクラウドサービスに自動アップロードできるツールの提供
  • クラウドサービスとアプリなどのツールを利用した情報提供
  • 緊急時の迅速な情報提供および情報の共有
③様々なデジタル技術でオフィスと現場を繋げる『オフィスの建設DXについて』
  • 現場とオフィスをWebカメラやzoomアプリ等の利用で繋がることで、トラブル発生時でもすぐに画像を見ながら対応することが出来たり、更なる効率化を現在模索中。
スマートオフィス(オフィスワーカーの環境整備)

オフィスワーカーが快適に効率良く働ける環境整備

  • 室内の温度や湿度、照明の照度等のオフィス環境を自動制御させ省エネを実現するとともに、従業員が快適に、効率良く仕事のできる環境を整備
  • 柔軟な働き方改革として、脳を休め、気分転換できるリフレッシュルームを設置
  • 室内空気環境を整備。熱交換型換気扇による空気の浄化や花粉除去機能を向上させる空調設備の設置
  • Wifi6対応していることで、高速通信や同時に複数端末への接続でも回線が安定できるため、今後一部でフリーアドレスへ変更しても対応可能

既に導入済。更なる効率化を検討模索中。

スマートオフィス(社内外ワーカーの環境整備)

最先端ミーティングルームを装備し、Web会議で情報の共有

  • MAXHUB(インタラクティブボード)を導入し、活発な意見交換が行える、質の高い会議を実施
  • プレゼンテーションやWeb会議でもデータを共有し、遠隔地のチームともリアルタイムな情報共有を実施
  • 防音機能完備のミーティングルームによる集中した会議を実施

既に導入済。今後は、MAXHUBの機能を最大限に高め、より質の高い会議ができるよう検討している途中。
防音機能があることで、WEB会議においては、集中した会議が実施できている。

3Dデータの作成・点群処理・Web会議用に個室集中室を設置

  • 集中室に高性能スペックのパソコンを設置、精神的にストレスの掛かる点群の処理や編集、作成時に処理が重たくなるBIM/CIMを作成する3DCADなどの作業時の負担を軽減
  • 集中力が要る作業を個室で臨めるため大幅な作業効率が向上

既に導入済。現在、BIM/CIMの内製化を2024年までに図れるよう計画途中である。

スマートオフィス機能のまとめ
  • 大容量通信に対応
  • オフィスで働くワーカーのオフィス環境の向上に対応
  • ウイルス対策の強化に対応
  • 停電でも通常稼働できるオフィス
  • 建設DXに対応
  • 省エネにより、地球にやさしいオフィス
  • リモートワークに対応
  • チームイノベーションの持てるリフレッシュルームの導入
  • 緊急時やWEB会議対応の防音の効いたミーティングルームの導入
  • 集中できる個室の導入

スマートオフィスにつきましては、こちらのページでも詳しく説明しています。ぜひご覧ください。

次のステップ

ビックデータにも対応できる機能を用いたオフィスであり、上記記載の機能を持ち合わせた『スマートオフィス』が既に完成しているので、後はどのように得られた情報を活用していくかが鍵である。

スマートオフィス機能のまとめ(紹介画像)

こちらは、当社のスマートオフィス機能をまとめた紹介画像となります。
従業員同士が気兼ねなく話せるリフレッシュルームやオフィス環境を自動制御できる機能を持ち合わせた執務室、MAXHUBを設置している防音機能のあるミーティングルームや集中室などがございます。
コロナ禍でのリフォームでしたので、ウィルス対策や省エネ対策もおこなっております。

リフレッシュルーム

リフレッシュルーム

省エネ・ウィルス対策オフィス

省エネ・ウィルス対策オフィス

オフィス環境自動制御(温度・湿度・照度)

オフィス環境自動制御(温度・湿度・照度)

作業集中個室

作業集中個室

当社の考える建設DXまとめ

  • オフィスにて現場の状況が把握できる『見える化』に対応
  • 現場であっても常に本社の情報を共有できる
  • 現場でも図面や設計書などの情報も確認や編集もできる
  • スマホアプリにて緊急時の情報発信や情報受信が迅速に簡単にできる
  • 現場で撮影した写真をすぐに確認し、整理できる
  • ダンプの運行状況の把握ができる
  • リモートワークに対応
  • 技術者への後方支援体制がある
  • アプリにて現場の進捗状況が把握できる(土工事のみ)
  • アプリにてデジタルツインを作成し、現場を把握、データを活用できる

次のステップ

とりあえず、デジタル化はある程度できているが、問題はこのデジタルデータをどう活かすかということ。まだまだDX化までは道半ばであり、これらのデータをどう活用するかが非常に重要である。我々規模の建設業における建設DXの参考にできる事例がほぼないことから、様々な方面にアプローチをかけて進めていきたいが、少し行き止まり気味でもある。また、この建設DXプロジェクトに更にプラスして今後はバックオフィス分野のDXを進めていく必要があると実感している。